小浜島スケッチ帳 1

昭和52年から毎年の3年間、沖縄の離島「小浜島」に一月程滞在しました。今ではNHKのドラマで有名になった島ですが、その頃は「観光」とは無縁な何も無い良き島でした。毎日何もしないと申し訳ないので、日記代りにスケッチを描いたのがこのスケッチ帳です。折角だからと、「大好き沖縄」の会発行の会誌『大好き沖縄』で連載させていただいています。記憶が途切れないうちに・・・と書いたものの再録です。

私の小浜島スケッチ帳 ①-1

ホーバークラフトが港に着いたので降りようと荷物をまとめていると、周りの人達が「ここではない」としきりに止めようとした。小浜で下船するのだと説明しやっと降りてみると、母と私の他に降りたのは一人だけだった。ホーバークラフトの騒音が遠くに立ち去り、我に返って周りを見渡すと、港には建物等何も無く小さなトラックが一台止まっているだけだった。

他の客を迎えに来た車なのかなと思って見ていたら、その人は助手席には乗らず荷台に荷物を放り投げよじ登ろうとしていた。荷台は座れるように木の長椅子になっていた。この車が居なくなったら私たちは何も無い浜に取り残されてしまうと思い、あわててこの「バス」に乗り込んだ。

運転手のおじさんは、見知らぬ私たちにけげんな顔をして「どこに行きたいの・・・」

と聞いて来た。

これが私の小浜島初上陸(昭和52)の思い出です。

《 平成20年8月15日発行『大好き沖縄』40号再録 》

 

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