年賀状版画作品について(2)
私の版画制作の原点は“版画の年賀状”でした。
最初の作品は幼稚園の頃で、ジャガイモを半分に割った全面に顔を彫った作品で、絵の具に澱粉が混ざりチカチカと光っていた記憶があった。
木版画の第一作は、小学6年?の12歳の時の年賀状で、犬が靴下を咥えた構図と、はっきりと覚えている。(西洋式に“年賀とクリスマス”の祝いと云った洒落ではなく、明らかに正月とクリスマスを混同していたに違いない。)その版木は保存してあったのだが、ある時、庭のたき火の灰の中にその残骸を発見し絶句した。今、その版画は残っていない。
版画家となってからのある時、九州の親類から「家を整理していたら子どもの時の卓美君の版画の賀状が出て来たが、要るか要らないか」という電話があった。要るから直ぐに送って!と頼んだら、届いたのは、私が思っていたのとは全く違う「いも版」の版画だった。(宛名書きは母の字で、版画も母が彫ったものではと思っている。)私が覚えていた「いも版」は実在していたのだろうか。