どんぐりと山猫 宮澤賢治  制作 伊藤阿弥

著者本 紹介①

どんぐりと山猫 宮澤賢治

制作  伊藤 阿弥 (版画 伊藤 卓美)

○ 木版手摺り 101部 限定

○ 発行日 1997年8月27日

○ 発行者   伊藤 卓美

○ サイズ   函入 32P 243x175x18

宮澤賢治生誕百年を記念して制作した「宮澤賢治歌留多」の版画を制作中、「どんぐりと山猫」の絵に困っていました。いろいろな人がすでに絵にしているので似たような作品になるのを嫌ったからでした。そこで思いついたのが小学一年生だった娘に絵を描かせたらというアイデアでした。

娘が読んで描いた絵を見て唖然としました。子どもにしか描けない感性の塊、大人の私には絶対描けない絵でした。これなら最初から娘に描いてもらえば良かったと思った位でした。

めでたく歌留多が完成した後に、ある女性から「賢治童話の絵本を作ってください」と懇願された。賢治童話を子供と読む会を開催しているのだが、絵本に挿入されている絵が怖いと言って子供達が読みたがらないので伊藤さんが作ってくれたら・・・というのです。

そんな話があってから暫くの後の事、娘に「どんぐりと山猫」の色々の場面を描いてもらい一冊にまとまれば絵本になるのではと、ハッとひらめきました。こうして出来上がったのがこの本です。賢治没後76年、今でも全く古さを感じさせない賢治作品のように、娘の絵も何年経っても古さを感じさせないものと思っています。

唯一つ残念な事は、手摺りの木版本の故、本当に読んで貰いたい沢山の子供達の手元に届いていないと言う事です。どなたか印刷本の出版を企画していただける事を期待しています。

追、この後、この「どんぐりと山猫」の『点字本』を制作しました。詳しい経緯はカテゴリー『金唐革紙』のコーナーで紹介しています。

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