点字絵本『どんぐりと山猫』

金唐革紙(金革紙)について④

点字絵本『どんぐりと山猫』の制作

明治10年に『盲学凸文字』の出版版権願を50歳で申請した曾曾祖父は、どういう人だったのでしょうか。

ある時、女性達による慈善団体CWAJの版画展示会に出品していた私の元にCWAJから「目の見えない人に版画を見せたいので、私の出品作を使って良いか?」と言う連絡が入りました。どういう事かと問い合わせたところ、「版画の絵を、膨らむインクを使って簡単な浮き上がる絵に直し、点字のように触って見てもらう」との事でした。

そういう事は、曾曾祖父がやりたかったことだったのではと思い、私がお役に立てられる事ならと快諾しましたが、私の出品作は、線画にするには一寸難しい作品でした。(ホームページ表紙に使った『早池峰神楽権現舞集合の図』)

そこで、「金唐革紙」の技法を使ってハガキサイズで簡単な『権現様』の版画を作ってCWAJに渡しました。

本当に触って絵が判るものなのか一寸心配で、展覧会当日、目の見えない人が版画を触っている現場を見てきました。

この時、『どんぐりと山猫』の童話なら、比較的判りやすい絵の立体画が作れるのではないかと考えました。それは、以前娘(小3)の描いた絵を私が版画に仕立てて制作した手造り絵本『どんぐりと山猫』でした。

曾曾祖父が実現出来なかったことを曾曾孫が受け継ぐ、一寸いい話ではないでしょうか。そんな邪心を少し持っての制作だったかもしれません。

高田の馬場にある『点字図書館』に伺い、いろいろと助言を戴き、点字の文を加える等の工夫も加え、とにはかくにも、めでたく完成しました。後は実際どれだけ使ってもらえるか・・・・ということになります。

今思うことは、『盲目凸文字』が、程なく『点字』に進展したように、近年は、『点字を読む』より楽な『テープを聞く』時代に入っているという流れがあったということでした。

ここでも本が読まれない時代になっているようです。地元世田谷の図書館に寄贈しようと持参した所、「点字本は実際読まれない」と収蔵を断られてしまいました。点字だけでなく「触れる絵」も入っているのに。

と言う事で、世田谷に代わって受け取って頂ける「機関」がありましたらご連絡下さい。      (写真は『どんぐりと山猫』の本)

 

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