金唐革紙

母から受け継いだ「浮彫のお盆」

私が20代の頃、「木版画」をやっていたからなのだろうか、母が古い新聞紙に包まれた「木のお盆」を私にくれた。母の話では、祖父が金唐革の商売を辞めたあと、まだ家に居た若い彫り師が彫った物との事だった。(これは普通の浮彫で、前回お話した従姉の方は、金唐革用の逆彫りそのままとは違っている。)  

金唐革の事業を辞めた後、家に居た彫り師の職人が、暇だったからか、世話になりっぱなしでは肩身が狭いと作ったものか、新しい仕事を求めての創作作品では?といろいろと推測してみた。面白い事に、共通点は、伊藤家に嫁いだ「嫁」が持っていたと云う事です。二人とも、姑から貰ったものだったのでしょうか。

両親は、我が家にあった物を、息子3人を含め、それぞれの仕事にあった分野に適合した人に渡してくれていた。(例えば、文化人類学をやっていた次兄には、「首狩り族から貰った刀」というように)私の版画を認めてくれたという印だったのだろうか。

お盆の価値に関しては、私は専門家で無いので偉そうな「評価」は出来ない。内側が凸凹しているので実用的では無かった位しか説明出来ない。