「藤田嗣治」氏に関連して⑪

「藤田嗣治」氏に関連して⑪

藤田の「キャンバス」について

私の手元に藤田の「キャンバス」が残されています(写真参照)。藤田が日本を出国、アメリカに行くに当たり、残ったキャンバスを父がいただいたとのことでした。そのキャンバスで絵を描こうとした所、「絵の具が浸み込んでしまい非常に使いずらかった」と云うことで、かなりの後々まで我が家に残っていました。

そんな折ある会合で、知人の画家T氏が「藤田からキャンバスを譲り受けたが、全然描けなかった」という話をしているのを小耳にはさみ、T氏も自分と同じキャンバスを譲り受けたのだなと思ったそうです。

そのキャンバスは「アブソルバン」という製品で、吸収性の高い地塗りが施されたもののようでした。父は、この吸収性の高いキャンバスの使い方を知らなかったようで、T氏も困ったという事は、日本では使われていなかったキャンバスだったのでしょうか。

藤田は、このキャンバスを使い独自の下塗りを施し独自の絵を作っていたのでしょうか。

最近、藤田のキャンバスの研究が進み、「謎」が解決したという話を聞きましたが、キャンバスはこのアブソルバンだったのでしょうか。

それとも、藤田も使いあぐねていたキャンバスを貰ったのかも・・・と考えたり。

父やT氏が「アブソルバン」を使ったことの無い事を藤田は知っているはずですので、どういう考えが藤田にあったのでしょうか。多分、使えないで困っているだろう・・とニヤッと笑んでいた事はに間違い無いでしょう。

写真は藤田氏から父が頂いたキャンバス「アブソルバン」

 

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